日本料理は品の取り合せと、器の趣味に凝ることにおいて、眼の料理であり、支那料理は舌の料理であると云(い)われる。
九条武子[くじょう・たけこ]
(教育者、京都女子学園・京都女子大学設立者、歌人、社会運動活動家、仏教婦人会創設者、1887〜1928) 自著『無憂華』 「味はひ」 【 九条武子の名言 】
〈全文〉
日本料理は品の取り合せと、器の趣味に凝ることにおいて、眼の料理であり、支那料理は舌の料理であると云(い)われる。 __ Link __ 支那料理は北京と広東料理の濃淡両極端から、中間は海の物を得意とするィ波料理や、山の物を主とする四川料理などと、各(おのおの)その特色をもっているが、このほかにどれだけ種類があるか知れない。 日本のように材料の豊富なところは、原味を尚(たっと)ぶあまり、自然、調味法も簡単になりがちであるが、 __ Link __ 調味は物資の欠乏しているところほど発達する。 __ Link __ しかし、複雑に調味された美味な料理は、飽くこともまた早い。 都会の人よりも田園の人により多くのなつかしさをおぼえるのは、そこに純な人間味が失われていないからであろう。 __ Link __ 素純なものは、粗野なうちにも尊いところがあり、技巧の多いものほど、ながく親しみをつづけ難い。 __ Link __
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