(不幸な・不成功な恋愛に)つり込まれないよう警戒するに越したことはない。
というのは、恋愛の罠にかかるのを避けることは、かかって後(のち)罠から抜け出るのよりは、又愛の絆を断ち切るのにくらべれば、さして困難なことではないからである。 ルクレティウス
[ルクレチウス、ティトゥス・ルクレティウス・カルス] (古代ローマの詩人・哲学者、前99頃〜前55) 『物の本質について』(樋口勝彦訳) 【 ルクレティウスの名言 】
〈全文〉
首尾よくいった極めて幸運な恋にさえ此(こ)のような禍(わざわい)が見うけられるが、不幸な、不成功の恋愛には、眼を閉じていても見えるくらい、禍は無数にある。 __ Link __ 従って、前もって用心し、私が説いたような方法を用いて、つり込まれないよう警戒するに越したことはない。 というのは、恋愛の罠にかかるのを避けることは、かかって後(のち)罠から抜け出るのよりは、又愛の絆を断ち切るのにくらべれば、さして困難なことではないからである。 __ Link __ 然(しか)し、引っかかって、巻き込まれてしまった後でも、危険を避けることはできる。 但(ただ)し、君が君自身を妨げない〔愚図々々しない〕限り、又君が好きになり、得たいと思う女の持っている先(ま)ず精神上の欠陥、乃至(ないし)は肉体の欠点を見のがさない限りは――である。 即ち、色欲に盲目になると、それを見のがすものであり、女が実際は持っていない美点を、持っているもののように思い込んでしまうからである。 __ Link __ であるから、多くの点で歪んだ醜い女が可愛らしいと思われたり、最も誉(ほまれ)あるものと遇されたりしているのは、我々の見受けるところである。
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